アクシス Surveillance Card 02021-001で録画環境を底上げする話

目次

概要

アクシス Surveillance Card 02021-001は、いわゆる「なんでも屋」のSDカードではなく、監視カメラ用途にかなり振り切ったカードです。実際に購入して、倉庫の奥まったエリアを映しているネットワークカメラと組み合わせ、数週間単位で連続録画をかけて様子を見てみました。昼夜で温度差が大きく、機器にとってはそこそこ厳しい環境ですが、そこでも安定して書き込みが続くのかをチェックした、という感じです。

一般的なSDカードだと、長時間録画を続けているうちに急にエラーが増えたり、書き込み速度が不安定になったりして、気づいたら肝心な時間帯だけ録れていない、ということがあります。今回はその不安をどれだけ減らせるかを知りたくて、このカードを選びました。あくまで監視カメラ側の設定は大きくいじらず、普段の運用にかなり近い条件で使ってみたので、「特別な検証環境」ではなく、日常の一部としてどう感じたかが中心になります。

使い始めて数日で感じたのは、「気にしなくていい時間が増える」という、少し変な安心感でした。逐一録画状態を確認したり、こまめにカードの健康状態を気にする頻度が明らかに減ります。ログを追っても、記録まわりで目立ったトラブルがなく、気づいたら淡々と録画が積み上がっている、という印象でした。派手さはないけれど、裏方としてはかなり優秀なタイプです。

もちろん万能ではなく、容量や用途の考え方によっては、別の選択肢のほうが合うケースもあります。それでも、一定以上の期間を連続録画する前提で、なおかつカメラ側の管理機能と組み合わせて使うなら、安心感を優先したい人向けのカードだと感じました。このレビューでは、そうした「気にしなくてよくなる部分」と「逆に割り切りが必要なポイント」を、実際の運用目線で掘り下げていきます。

特徴

02021-001を買った一番の理由は、「遠隔地に置いている小規模な拠点のカメラを、サーバーなしで完結させたい」というかなりニッチな事情からでした。常時録画はしておきたいけれど、そこまで大げさなNVRを置くほどの台数でもないし、回線もそこまで太くない。じゃあカメラ内録画で完結させるしかないよね、という流れで「監視向け」をうたっているこのカードに行き着いた、という感じです。普通のmicroSDでも動くのは分かっているものの、遠隔地で抜き差し前提の構成は避けたかったので、最初から長期運用前提のカードを選んでおきたかった、というのも大きいです。

箱を開けた時の印象は、正直かなり地味です。派手な家電量販店向けパッケージではなく、業務用らしいあっさりした外装で、説明らしい説明も最小限。ただ、その「飾り気のなさ」が、かえって現場向けの道具っぽさを強く感じさせました。ブリスターパックを開けてカード本体を手に取ると、表面の印字も必要最低限で、容量とブランド、型番が分かるだけ。いかにも「飾りより中身で勝負します」という雰囲気で、撮影機材コーナーで売られている派手なカードとは明確に性格が違うな、とそこで一気に理解できました。

カメラ側に挿し込むまでの工程も、特別な儀式はなく、一般的なmicroSDXCカードと同じ扱いです。ただ、Axisのカメラに挿した瞬間にカードを検出して、ステータス画面で「ヘルスモニタ」の項目まできっちり表示されるのを見て、「ああ、このカードは完全にAxisのシステムの一部として設計されているんだな」と実感しました。形式としてはmicroSDXCの256GBで、スロットに差し込んだ感触自体は普通ですが、メニュー上での扱われ方が「ただの記録メディア」ではなく「監視ストレージ」として扱われるのが、実際に使い始めてみて分かったポイントです。

実際のスペックとしては、microSDXCで256GB、UHS-I、最大転送速度100MB/s、最大書き込み速度50MB/sクラスのカードです。スペック上の数字だけ見ると、最近のハイエンド撮影用カードに比べて「爆速」というほどではないのですが、監視用途での常時書き込みという前提で見ると、むしろバランス型に寄せている印象を受けました。フルHD〜数メガピクセルクラスの監視カメラで、常時録画+イベント録画を組み合わせた構成であれば、帯域的に特に窮屈さは感じません。Bitrate設定をそれなりに攻め気味にしても、書き込み待ちでカメラ側が息継ぎするような挙動は見られず、スペック表に書かれた数字がきれいに体感としても一致している感覚があります。

触ってみて一番「仕様の癖」として感じたのは、速さそのものよりも「安定感」の方に振っているところです。短時間のベンチマークでピークを叩き出すタイプではなく、長時間運用していても動作感が変わらないことが前提、という設計思想がにじみ出ているように感じました。実際、連続録画をかけた状態で数日単位で放置しても、カメラの録画インジケータが途切れたり、ログ上でストレージ関連の警告が出たりといったトラブルは今のところ出ていません。書き込み専用に近い運用をしているので、普段は「存在を意識しない」ぐらいの静かな立ち位置で動いているのが、このカードらしさだと思います。

また、メーカーとして「監視カメラ向け」と明言しているだけあって、堅牢性まわりの仕様も意識的に作られている印象です。防水、防塵、耐衝撃、耐温度、耐X線、耐磁性といった、監視用途でありがちな過酷環境を一通りカバーする仕様になっていて、屋外寄りの設置環境でも安心して突っ込める感じがあります。実際には、今回使ったカメラは完全屋内設置で、温度や湿度が極端に厳しい環境ではありませんが、「もしこの先、設置場所が変わってもカードはそのまま流用できるな」と思えるだけで心理的な余裕が生まれます。特に遠隔地拠点だと、現地に行ってカードを差し替える手間を極力減らしたいので、この辺りの仕様は地味に効いてきます。

体感に直結していると感じるのは、カメラ側の健全性モニタと組み合わせて使える点です。Axisの管理画面からカードの状態が見えるようになっていて、エラーが溜まっていたり、寿命が近づいている場合には、事前に兆候として拾いやすい構造になっています。これはカード単体のスペックというより、「Axis Surveillance Card」と「Axisカメラ」の組み合わせの仕様ですが、現場目線で見ると、この密な親和性が02021-001を選んだ大きな価値になっています。いわゆる「普通のmicroSD」を挿しているだけだと、壊れるまで気付きにくいのに対して、専用品ならではの安心感を実感できる場面です。

一方で、良くも悪くも監視用途に振り切れているので、汎用の高速カードとして何でもかんでも流用する、というタイプの製品ではありません。4K動画を頻繁に抜き差ししてPCにコピーしたり、アクションカメラ用のメインカードとして酷使したりするよりは、Axisのカメラの中に挿しっぱなしで、ひたすら録画を受け止め続けるような使い方に向きます。容量が256GBあるおかげで、ビットレートと保持期間のバランスを取りやすく、拠点ごとに「何日分ならここまで遡れる」という感覚を掴みやすいのも、使っていて地味にありがたいポイントでした。

総じて、02021-001は「数値上の速さで魅せるカード」というより、「Axisの監視カメラに挿してこそ本領を発揮する実務用ストレージ」という印象が強いです。購入前は、正直microSDにここまでこだわる必要があるのか少し迷いましたが、カメラ側のUIとの統合感や、長時間連続運用で何も起こらない安定感を経験すると、「ああ、こういうことか」と腑に落ちます。遠隔拠点で、できるだけ現地に足を運びたくない、でも録画はちゃんと残したい、そんなワガママな条件を押し込めたいときに、ようやく必要性が見えてくるカードだと感じています。

使用感レビュー

購入してからちょうど2週間ほど経つ。アクシス Surveillance Card 02021-001を実際に使い続けてみて、最初の数日は正直そこまで大きな変化を感じていなかったのだが、日が経つにつれて「あ、これは日常の細かいストレスを確実に減らしてくれているな」と思う瞬間が増えていった。最初に気づいた良い点は、挿入してすぐに認識される反応の速さで、余計な待ち時間がほぼないこと。逆に悪い点として最初に気になったのは、カード自体の質感がやや硬めで、抜き差しのときに少しだけ指先に力を入れる必要があったことくらいだ。ただ、それも数日使っているうちに慣れてしまい、今では特に気にならなくなっている。

日常の中で特に役立ったと感じたのは、仕事部屋の片隅に置いている小型監視カメラの記録を定期的にチェックするときだ。普段は深夜に作業することが多く、部屋の照明を落とした状態で静かに作業しているのだが、カードの読み込み時に余計な音が出ないので、集中が途切れない。静音性というほど大げさなものではないが、余計なノイズがないというのは思った以上に快適だった。また、深夜の作業後にカメラの映像を確認する際、カードを抜いてPCに差し込む動作がスムーズで、取り回しのストレスがほとんどないのもありがたい。

使用前は「まあ普通に使えればいいかな」くらいの期待だったのだが、実際に使ってみると安定性の高さが予想以上で、長時間の連続書き込みでも不安を感じる瞬間がなかった。特に、週末に部屋の模様替えをしてカメラの位置を変えた際、記録が途切れていないか後で確認したのだが、丸一日分の映像がしっかり残っていて、思わず「助かった」と声が出た。こういう細かいところで信頼できると、使い続けるうえでの安心感がまるで違う。

操作性については、カード自体の反応が素直で、PCに差し込んだ瞬間にすぐアクセスできるのが気持ちいい。読み込みの待ち時間が短いので、映像を確認したいときにテンポよく作業が進む。質感はやや硬めだが、逆にしっかりしているとも言える。薄いカードだと取り扱いに気を遣うことがあるが、このカードは適度な剛性があって、抜き差しのときにたわむ感じがない。個人的にはこの安心感がかなり好印象だった。

また、意外だったのは、カードを頻繁に抜き差しする作業が苦にならないこと。普段、監視カメラの映像を確認するのは週に数回程度だが、深夜の作業後にふと気になってチェックしたくなることがある。そんなとき、眠気が残った状態でもカードを扱いやすいのは地味にありがたい。カードスロットに差し込むときの感触が一定で、引っかかりがないので、手元が暗くても迷わず扱える。

ギャップとしては、もっとクセのある使い心地を想像していたのに、実際は驚くほど淡々と仕事をこなしてくれる点だ。派手さはないが、必要なときに確実に動いてくれる。特に、長時間の連続記録を行った日の翌朝、映像を確認したときにエラーが一つもなかった瞬間は、思わず「これは当たりだな」と感じた。こういう積み重ねが、気づけば信頼につながっている。

総じて、2週間使ってみて感じたのは、日常の中で「気にしなくていい時間」を増やしてくれるカードだということ。監視カメラの記録という性質上、安定して動いてくれることが何より重要なのだが、その点でこのカードはしっかり応えてくれている。派手な特徴があるわけではないが、使えば使うほど「これでいい」「これがいい」と思える。そんな静かな満足感を与えてくれる存在だ。

まとめ

アクシス Surveillance Card 02021-001 を実際に監視カメラ用途で回し続けてみて、まず感じたのは「とにかく気を遣わなくていいメモリーカード」だということでした。容量や速度だけを見れば特別派手さはないものの、録画システムの一部として黙々と働き続ける安定感が強く、運用を続けても不安やストレスがほとんど蓄積しませんでした。特に、エッジ側でカメラ本体に録画を任せる構成にしたとき、書き込みエラーや録画の途切れを気にしてカメラごとに様子を見る、といった手間が減ったのは地味ですがかなり大きなメリットです。

満足している点として一番大きいのは、監視用途を前提に設計された耐久性と信頼性のバランスです。オフィスのバックヤードや店舗のバックヤードなど、人の出入りはあるけれど「常時誰かが録画状態をチェックしているわけではない」場所で、24時間録画や動体検知録画を混在させて使っても挙動が安定していました。その結果、録画システムのトラブル対応で呼び出される回数が減り、運用担当としての心理的負担も軽くなりました。一方で惜しいと感じたのは、一般的なコンシューマ向けカードと比べて選択肢が少なく、記録容量やラインアップを細かく選べる自由度は高くないところです。汎用カードのような「とりあえずどこでも同じ感覚で使える」気軽さではなく、あくまで Axis 製カメラとの組み合わせで真価を発揮する前提の製品だと感じました。

向いている人としては、まず「離れた場所の小規模拠点をいくつも見る必要がある人」が挙げられます。たとえば、地方に点在する無人倉庫や資材置き場、社用車庫など、常に人がいないけれどトラブル時には録画が残っていてほしい拠点です。こうした場所では、一度設置したカメラとカードを頻繁に触ることができないので、メモリーカード側の信頼性がかなり重要になります。また、ビルの屋内共用部や機械室、屋外通路など、常時監視はしたいもののネットワーク帯域を潤沢に確保しづらいシーンでも役に立ちました。カメラ側でローカル録画させておき、必要なときにだけ映像を取りに行く、という運用を安心して組めるのはこのカードならではの使い方だと感じています。

生活シーンという意味では、テレワーク用のサテライトオフィスやレンタルスペースのオーナーにも向いていると感じました。日中は人が出入りし、夜間や週末は無人になるようなスペースでは、「万が一のトラブル時に映像がなかった」という状況だけは避けたいものの、常に録画状態をチェックする人員を割くのも現実的ではありません。そうした環境でこの Surveillance Card を使うと、稼働状況を意識せずとも、カメラとカードの組み合わせに任せておける安心感が得られました。派手さはないのですが、「気づいたら当たり前の存在になっていた」タイプの道具に近い印象です。

長期的に見て買って良かったと思うポイントは、故障リスクや録画抜けリスクを下げることで結果的に運用コストが抑えられるところです。録画が飛んでしまうと、原因調査や再発防止の検討、関係者への説明など、目に見えないコストが一気に膨らみます。このカードを使うようになってからは、そうした「原因のはっきりしない録画トラブル」に振り回される場面が減り、その意味で投資に対するリターンを実感しています。また、Axis カメラとの相性をあまり疑わずに選べる純正ポジションの存在も大きく、機器選定や稟議の際に説明しやすい点も含めて、監視システムを中長期で安定運用したい人には十分に選ぶ価値があると感じました。

引用

https://www.axis.com/


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